STM32 CubeIDE環境で、CMSIS-DSPを使う方法

Arm社が提供するCMSIS-DSP Libraryを利用すると、簡単に高速な演算ができます。

できることは、三角関数や平方根だけに留まらず、行列操作、FIRフィルタ・FFT、PIDコントローラ、クラーク変換・パーク変換等、幅広く入っています。

導入することで利用できる関数は以下のページにまとめられています。

https://www.keil.com/pack/doc/cmsis/dsp/html/modules.html

さて、このCMSIS-DSPですが、故・TrueStudioでの環境構築は、わかりやすくまとめられておりますが、CubeIDEでは少し操作する項目が増えておりますのでまとめてみます。

以下、執筆時の環境です。

IDE
STM32CubeIDE
Version: 1.0.0
Build: 2872_20190423-2022 (UTC)
マイコン
STM32F446RE

①ライブラリの追加
STM32Cubeのディレクトリから以下の2ファイルをコピーします。

STM32Cube\Repository\STM32Cube_FW_F4_Vxxxx\Drivers\CMSIS\Lib\ARM\arm_cortexM4lf_math.lib
STM32Cube\Repository\STM32Cube_FW_F4_Vxxxx\Drivers\CMSIS\Lib\GCC\libarm_cortexM4lf_math.a 

これらをプロジェクトフォルダ内にコピーします。

Windows環境でしたらユーザフォルダ内にSTM32Cubeがあるかと思います。
またVxxxxは適宜読み替えてください。

②プロジェクトファイルの設定
CubeIDEの
(プロジェクトのプロパティ)>C/C++Build>Setting>ToolSettings>MCU G++ >Linker>Libraries
の設定で以下の2項目を登録します。
1.Libraries>addから、arm_cortexM4lf_mathを登録
2.Library search path>add>workspace… から、 (先程arm_cortexM4lf_math.aをコピーしたディレクトリ)を選択します。
正しく指定できていれば、 ${workspace_loc:/${ProjName}} となるはずです。

Tips
ファイル名のM4lf_mathのlfはLittle endian,fpuの略。
つまり、M4l_mathやM4b_math(Big endian)のfpuなしのmathライブラリは使う機会があるのか疑問。
また、M7系の上位マイコンでは、
arm_cortexM7lfdp_mathのような(double precision)を扱えるものもある。

③Includeをする
関数を使いたい.c/.cppファイルにて、以下を定義してIncludeします。

#define ARM_MATH_CM4
#include "arm_math.h"
#include "arm_const_structs.h"

定義しているCM4はCortex-M4の略で、
CortexM7→CM7
CortexM4→CM4
CortexM3→CM3
CortexM0→CM0 とマイコンボードによって変更します。
以後、今回利用するCortexM4のみ解説するので、
別のCPUの時は適宜読み替えてください。

③足りないものを追加する
試しにこの段階でビルドしてみましょう。
次のような怒られが発生するはずです。

../Src/main.c:24:10: fatal error: arm_math.h: No such file or directory
 #include "arm_math.h"
          ^~~~~~~~~~~~

(以前のTrueStudio環境では、この段階で勝手に足りないものを取ってきてくれて、ビルドが通った記憶があります。)

いろいろ足りないので、必要なファイルをIncに追加します。

STM32Cube\Repository\STM32Cube_FW_F4_Vxxxx\Drivers\CMSIS\DSP\Include
内にある、
arm_math.h
arm_const_structs.h
arm_common_tables.h
をインクルードできる場所に追加します。
(例えばプロジェクト内のInc)

以上の操作にて、CMSIS-DSPのライブラリが利用できるようになります。
試しに以下のようにmainの内部を変更して、コードを実行してみます。

/* Includes ------------------------------------------------------------------*/
#include "main.h"
/* Private includes ----------------------------------------------------------*/
/* USER CODE BEGIN Includes */
#define ARM_MATH_CM4
#include "arm_math.h"
#include "arm_const_structs.h"
/* USER CODE END Includes */

 /* USER CODE BEGIN WHILE */
  int num = 0;
  while (1)
  {
	  float armsinVal = arm_sin_f32((float32_t)num*2*M_PI/255);
	  float armcosVal = arm_cos_f32((float32_t)num*2*M_PI/255);
	  float sinVal = sin((float)num*2*M_PI/255);
	  float cosVal = cos((float)num*2*M_PI/255);
	  num++;
    /* USER CODE END WHILE */

    /* USER CODE BEGIN 3 */
  }
  /* USER CODE END 3 */

ブレークポイントを打って実行をすると、以下のように動作の確認ができるかと思います。

今回は手抜きをしたのでタイマを動かして動作時間の解析等はしませんでしたが、
タイマを動作させて実行時のタイマ値を読んだりすると面白いかと思います。

Tips
今回は説明の便宜上、必要なものを全てプロジェクトフォルダやIncに入れていますが、別のフォルダにパスを通して、ライブラリに必要なもの一式を入れると見やすくて良いかと思います。

モータの開発環境をA基板上に収めた

モータの開発環境は非常に散らかります。
モータ・インバータ・電源と3つの要素があり、それぞれを配線が結ぶからです。
片付けるのが大変だし、何かと異常が発生していても気づきにくいので、秋月のA基板の上に収めました。

使用している環境としては、
P-NUCLEO-IHM001のキット
https://jp.rs-online.com/web/p/power-management-development-kits/9064630/
をSTM32F446
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-10176/
で開発。
電源は秋月のこちらを利用。
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-10663/

現在オブザーバ構成中の為、ひたすらMATLABとIDEをにらめっこ。
(すいません…これ以上の進展はありません…)

商品購入:はんだリール台 / 軸の改良など

秋月にて、お盆前に以下のようなリール台を取り扱い始めました。
白光株式会社[HAKKO] はんだリール台 611-1
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gT-14461/

店舗には日本アルミット製の100g品のリールが入らない旨の
注意書きがありましたが、構わず買ってきました。

 

Goot製のものは難なく入りますが、やはりアルミットのはんだは入りません

入らないので、軸を作り直します。
寸法を測定して3DCADで書き起こして、3Dプリンタで出力します。

無事にアルミット製のはんだも使えるようになりました。
ハンダ付けの作業中に、リールが机から転がり落ちる事が多々あったので、快適になったと感じております。

需要があるか分かりませんが、作成した軸については、
382円(300円+送料)にて頒布しようと思います。

支払い方法は、ジャパンネット銀行 or 三井住友銀行へ銀行振込のみとなります。
また、普通郵便での配送となります。

ご希望の方はコメントもしくはioloa.yutaka@gmail.comまでご連絡ください。